リード獲得とは?方法や施策、 効果的なリード獲得のポイントや事例を解説
最終更新日:2024/10/17
リード獲得とは、リード(見込み客)の情報を手に入れることを指し、営業活動に欠かせない要素の1つです。本記事では、リード獲得するための具体的な施策やその注意点、実際の例をまとめて紹介します。
本記事でわかること |
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目次[非表示]
リードの定義から戦略まで5分でわかる資料 |
リード獲得とは何か
リード獲得とは、将来的に顧客になりうる「見込み客」を見つけ出すことです。リードジェネレーションとも呼ばれます。
もともとリード(見込み客)とは、自社に興味を持っており、今後顧客や利用者になる可能性がある企業・個人を指します。由来は英単語の「lead(意味は先頭・手がかり・きっかけなど)」です。
企業は、獲得したリードに対して電話やメールなどのアプローチを行い、実際に購入してもらう(顧客へ転換してもらう)ための活動を行います。そのため、一般的にはアプローチを行うための情報※を取得できればリード獲得となります。
※アプローチを行うための情報に何を含めるかは企業によって定義が異なりますが、例えば、社名、氏名、部署名、役職名、電話番号、メールアドレスなどの名刺情報が挙げられます。 |
リード獲得の目的
リード獲得の目的は、当然ながら案件を獲得し、顧客を増やすことにあります。
旧来までの新規営業活動は、候補となる企業リストに営業電話をかけ、アポイントが取れたら直接訪問し、ヒアリングや情報提供などを行いながら案件の成約を行ってきました。しかしこの手法では、自社に興味があるかどうかがわからないところも含めてアプローチすることになるため、効率的ではありませんでした。
近年では、インターネットや各種マーケティングツールを含むデジタル技術の進展により、こうした営業活動にも変化が生じました。より効率的に営業活動を行うため、自社に関心をもったリードの連絡先を入手した上で、まずメールや電話で接触しながら反応を見て、営業アプローチをかけるターゲットを探っていく方法が広まりました。
リードを営業に渡す前に、リードに対してメールなどで情報提供を行いながら自社に対する関心を高める活動を行う場合もあり、こちらはリードナーチャリング(リード育成)と呼ばれます。リードナーチャリングについては後ほど詳しく解説します。
特に近年では、コロナ禍によって展示会きっかけの商談や対面での営業活動が困難になったり、アプローチ先担当者の勤め先へ営業電話をかけてもつながらなくなったりしていることも増えています。まずはメールを経由して営業アプローチを仕掛けるためにもオンラインでのリード獲得が重要性を増しています。
リード獲得は案件創出につなげるための重要なステップの1つ
リード獲得に効果的な方法オンライン・オフライン比較
リード獲得に効果がある手法は大きく2つに分けられます。オフラインでの施策とWebマーケティングの技術などを活用したオンラインでの施策です。
これらは施策によって、リード獲得が行いやすいか、また自社が狙おうとしている見込み客にアプローチしやすいか(ターゲティングしやすいか)が異なります。簡単に比較表をまとめると以下のようになります。
【オフラインでの施策】
【オンラインでの施策】
以下、これらの特徴を1つずつ見ていきましょう。
オフラインでのリード獲得施策
まずはオフラインでのリード獲得施策から、その特徴を1つひとつ確認していきましょう。
・展示会
会場で複数社がそれぞれブースを設け、製品を対面でアピールしていく展示会は、その場で興味を持った企業と名刺を交換したり、アンケートを行ったりしてリードを獲得できます。 展示会に来場する企業の中には、複数社の製品を一度に見たい、複数社とまとめてコンタクトを取りたいと考えている企業もいれば、中にはオンラインでの情報収集を得意としないために足を運んで参加したいと考える企業も存在します。 |
・セミナー(リアルセミナー)
セミナーでは、企業が抱える課題の解決策として、自社の製品・サービスの使用方法またはそれに関連する業界や市場動向を講演して参加企業の関心を喚起します。展示会と同様、その場で名刺や連絡先を交換できます。 |
・ダイレクトメール(DM)
オンラインのメール(電子メール)ではなく、郵便物やFAXによって案内などを送付する方法です。はがきや資料、パンフレット、試供品などを企業のオフィスなどへ郵送またはFAXします。受取先が興味を持ってくれた場合、送付物に記載した電話番号やメールアドレスへ返信をもらう形でリードを獲得できます。 |
・テレマーケティング
先方からの電話(会社のお問い合わせページ経由など)へ対応することをインバウンド方式、こちらから先方へ電話する場合をアウトバウンド方式と呼びます。対面での営業と比べて、顧客1人へ費やす時間が短いという特徴があります。 |
・屋外広告
屋外広告では看板や張り紙、建物などに企業名や製品名、問い合わせ先などを明記します。公衆の目につく場所にて、一定期間表示することで、興味を抱いている・いないに関わらず目にしてもらえる点が大きな特徴です。リードの獲得は広告を見た人からの問い合わせになりますが、展示会やセミナー、テレマーケティングと異なり、その場で直接見込み客とコンタクトを取るわけではないため、効果が測定しにくいのが難点です。 |
・交通広告
バスや電車、タクシー、地下鉄、飛行機など乗り物内の掲示、ステッカー、デジタルサイネージや車体ラッピング、駅構内などに設置された表示なども含まれます。乗り込んだ場所から目的地までのルートにより、顧客の層をある程度絞ることができます。
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オンラインでのリード獲得施策
オンラインでのリードの獲得施策はインターネットを経由して行われるもので、オフラインと比較するとより効果が明確に分かりやすい特徴があります。代表的な施策は以下です。
・リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahooなどの検索エンジン上にて、検索結果と並んで画面上に表示される、テキスト広告のことです。検索連動型広告とも呼ばれます。検索結果のリンクからランディングページ(LP)などに誘導してリード獲得を行います。
検索したワードに合った広告を表示することができるため、特定のキーワードに興味関心を持つユーザーにアプローチしやすいという特徴があり、オンライン広告の代表的な手法となっています。
・SNS広告
TwitterやFacebook、InstagramなどのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のタイムラインやフィードに表示する広告のこと。そこからLPなどに誘導してリード獲得を行います。
Facebookはユーザーがプロフィールとして自身の住む地域や年齢、性別などを入力するため、Facebook広告ではそれを利用し、自社製品・サービスに適合した地域や年齢、性別などを絞って広告を表示させることもできます。
・バナー広告
Webメディアなど広告枠を設けているWebサイト上に、バナー画像や動画を表示させる広告です。ここからリンクした自社のLPなどに誘導します。一定期間表示する契約もあれば、またはどれくらい表示されたか(インプレッション)に応じて課金する契約もあります。
・メディアへの記事掲載
Webメディア上で自社や製品・サービスを記事形式で紹介するタイプの広告で、タイアップ広告とも呼ばれます。メディアの読者に対して、他広告と比べてかなり自然な形で自社製品・サービスをアピールすることができるという特徴があります。記事とともにアンケートを設定したり、記事を途中まで表示しておき続きを読ませるためにプロファイル情報などを入力させたりしてリード獲得できるようにしているものもあります。
通常の記事と記事広告を区別できるよう、記事広告では一般的に「PR」「広告」と表示されます。
・オウンドメディア
外部のWebメディアに広告出稿することで記事を掲載するのでなく、自社独自のWebメディアを運営して、その中で記事公開や資料ダウンロードへの誘導を行いリード獲得する手法です。
外部メディアと比べて集客が難しいこと、また読者を引きつけるための良質なコンテンツ制作を安定的に行うのが難しいという課題がありますが、成功した場合、外部メディア出稿よりも安価で安定的にリード獲得できる施策です。
・資料ダウンロード
Webメディアなどに、自社の製品・サービス資料やホワイトペーパーなどを掲載しておき、読者がダウンロードするのと引き換えに情報を入力してもらいリード獲得を行う方法です。ダウンロードしてもらいやすい有益な資料を持っている場合に効果が期待できる施策です。なお、メディアによっては、獲得リード数やリード属性を保証したり、ホワイトペーパー作成を依頼したりすることができる場合もあります。
・Webセミナー
Zoomなどの一般的なオンライン会議ツールや専用の配信プラットフォームを用いて、インターネット経由で配信するセミナーです。ウェビナーとも呼ばれます。
視聴登録の際に情報入力してもらうことでリードを獲得できます。リアルセミナーとは異なり地理的な制限や会場キャパシティーの問題が無いため、うまく活用すれば、多くの見込み客を獲得できます。
ツールによっては、視聴者ごとの視聴時間や関連資料のダウンロード状況などの行動履歴が計測できるだけでなく、アンケートや配信中に視聴者から寄せられる質問に答えるQA機能などを実装しているものもあり、その後のフォローアップに役立つ情報を収集することが可能です。
・オンライン展示会出展
オンラインイベント用の配信プラットフォームを用いてWeb上でイベントページにアクセスしてもらい、リアルな展示会のようにさまざまな企業のブースを設置し、製品資料などの展示物を閲覧・入手したり講演を視聴できたりするようにしたものです。こちらも参加登録時に情報入力してもらうことでリード獲得を行います。
専門性の高いメディアが主催するオンライン展示会では、そのテーマに関心の高い層が集まるため、自社製品に合わせたリード獲得が可能です。また、リアルな展示会に比べ、出展までの手間や人的リソースがかからず、安価にリードが獲得できるのもオンライン展示会の大きなメリットです。
オンラインで効果的にリードを獲得するための4つのポイント
上記のように、リード獲得はオンライン、オフラインそれぞれで施策があります。ここではオンラインでリード獲得の取り組みを行う際に注意するべきポイントとして以下の4点をご紹介します。
ポイント1.リード獲得の目的とターゲット整理
例えばリード獲得をWebメディアなどで行う場合、メディアによって読者の年齢層、役職、業種、職種は異なってくるため、取得できるリードの質も変わってきます。まずは自社のサービスや商品の受注につなげるには、どのような層に訴求するべきなのか、またどんなメッセージを打てばターゲットに響くのかなどを整理したうえで適切な媒体や必要な手法の選定を行うべきです。
自社の顧客になりえる企業のインサイトを理解するには、顧客の情報を収集することが欠かせません。そのためには、日頃顧客とコミュニケーションを取っている営業担当者と連携し、顧客の課題や実現したいこと、自社を選定してくれる理由などの情報共有をすることが重要となってきます。
【ターゲット整理例】
ポイント2.ターゲットに合わせたコンテンツ整備
オンラインリード獲得には、コンテンツの充実が欠かせません。一概に見込み客といっても、その個人がどの程度自社に対して興味・関心を持っているのか、また自社の製品で解決できる課題をどの程度認識しているのかなどによっても異なります。そのためには、ユーザーの前提知識や関心度、検討フェーズにあわせて適切なコンテンツを用意することが不可欠です。
例えば、すでに高い関心を持ち、情報収集も行っているような人であれば、競合他社製品との比較や、導入を後押しする導入事例などのコンテンツが必要になるかもしれません。
逆にまだ自社の関連商材に関する知識や、業務課題の認識が薄い場合は、市場動向コラムなどで課題を喚起するコンテンツなどが必要になるでしょう。
こうしたターゲットにあわせたコンテンツを用意し、オンライン施策などの広告文に用いるコピーなどにも差をつけて、方向性を明確化することが効果的です。
【コンテンツ例】
ポイント3.獲得したリードへの次回アクションの設定
オンラインリード獲得施策でリードを入手したあと、必ず商談・案件につながるとは限りません。営業担当者が関心度の薄いリードにいきなりアプローチした場合、すぐに商談につながらず、営業活動が無駄骨になってしまうことがあります。
こうした事態を防ぐために近年では、獲得したリードに対してまずインサイドセールス(内勤営業)担当者が電話にてヒアリングを行ったり、ユーザーの役に立つコンテンツ情報を提供したり、Webセミナーの案内などを送ったりしてリードの関心度を高め、営業につなぐためのステップを設ける手法が見られます。
このように、リードを獲得したあとに自社への関心を徐々に高めるために、どのようなメールやフォローを行うかを前もって設計することが肝心です。
ポイント4.継続的なナーチャリングシナリオの設計
上記のポイント3とも関連する内容です。獲得したリードはすぐに商談に結び付くとは限りませんが、検討期間を経て数カ月したあとに商談につながる可能性があります。それを見越して、リード獲得後の長期的なアクションまで設計することが重要です。
そのためには、獲得したリードと継続的につながり、自社への興味・関心を高めてもらうために有益な情報を送るなどのアプローチを行う必要があります。これは、リードを育てるという意味で、「リードナーチャリング」と呼ばれます。
リードナーチャリングの取り組みでは、例えば自社が送ったメルマガを開封したか、メルマガから誘導したサイトで資料をダウンロードしたのかなど、リードが取った行動によって自社への関心度を判定し、リードの分類を行います。営業・マーケティング活動では、リードはしばしば以下のように分類されます。
- オポチュニティ…具体的な案件情報がある見込み客
- セールスリード…営業アプローチが可能な見込み客
- ホットリード…案件化する可能性が高い優良見込み客
- ウォームリード…一定期間内に案件化しそうな潜在顧客
- コールドリード…時期未定だが将来的に案件化する可能性がある見込み客
リードナーチャリング実践のポイントとしては、ある情報を入手したリードは次にどんな情報を送れば反応がよいのかなどを見極めていく必要があります。自社の既存の顧客を参考に、購買まで至ったプロセス(カスタマージャーニー)を分析したうえで、自社に必要なコンテンツを用意することが重要です。
もっとも、リードがどのような行動を取ったのかを把握してそのリードに対して次にどんなアプローチを行うのかを1件ずつ管理するのは困難です。そこで最近では、そうした情報を一元管理して業務を効率化できるツールとして、マーケティングオートメーションツール(MA)が普及しています。
またリードの分類をどのような基準で行うのか、またどのタイミングで営業に渡すかは企業によって異なりますので、日々のマーケティング施策の中でリードの反応を見ながらチューニングを行う必要があるでしょう。
リードの定義から戦略まで5分でわかる資料 「忙しい人のための5分でわかるリード獲得施策」 |
オンラインでリードを獲得した事例
アイティメディアでは、オンラインリード獲得を支援するためにリード獲得サービスを提供しています。BtoB専門メディアに集う100万人超の会員データベースを保有しており、従業員数や業種、職種、地域などターゲットを絞り、事前に獲得件数を保証している点が特徴です。ここでは、同サービスを活用した企業の実例をご紹介します。
事例1:ベクター・ジャパン株式会社様
<背景・課題>
主に自動車業界向けに組み込みシステム開発を支援するソリューションを提供しているベクター・ジャパンでは、近年は他分野向けのソリューションも提供していますが、他業界ではまだ認知度が低く、顧客開拓に苦労していました。
<導入施策>
そこで、インサイドセールスを強化して、さらにオンラインで創出したリードからの営業アプローチを行うために、外部のリード獲得サービスを利用することにしました。そこで選ばれたのは、アイティメディアのリードジェネレーションサービスの中でも、製造業向けの情報メディアである「TechFactory」でした。
<効果>
アイティメディアへホワイトペーパー制作を委託して同メディアに掲載後、5日で50件のダウンロードがあり目標リードを獲得。そのスピード感と費用対効果を高く評価しています。さらに2020年には、獲得したリード全体のおよそ3割が案件化したという高い成果を得ました。
事例2:サイバーリーズン合同会社様
<背景・課題>
EDR(Endpoint Detection and Response)を中心とするエンドポイントセキュリティソリューションを提供するサイバーリーズンでは、オフラインのセミナーや展示会にも積極的に参加してきましたが、これらの施策は東京近郊に偏っていたため、全国的な認知度を得られない点に課題を感じていました。
<導入施策>
そこで同社では、全国に幅広くアプローチを行うため、アイティメディアの「リードジェネレーションサービス」を用いたリード獲得施策を実施しました。
<効果>
同社は上記の施策に対して「アイティメディアから獲得できるリードはスクリーニングしやすく、質は非常に良いと思います」と語ります。また他社が提供するサービスと比較して、アイティメディアのサービスでは専門性が高く商談につながるリードが多いと評価しています。
リード獲得の費用・リード獲得単価
リード獲得を行うためにはどの程度の費用がかかるのでしょうか。これはサービスによって異なるために一概に言うことはできません。1リード当たり数千円で済む場合もあれば、数万円になることもあります。
リード単価はどの金額が妥当であるかどうかは、共通の指標があるわけではなく自社の製品やサービスが成約した際の売上によって異なります。大事なのは、自社で行うさまざまな施策、外部のリード獲得サービスのいずれにしても、リード単価(CPL:Cost Per Lead)を算出し、施策ごとに比較しながら自社にとっての目安を相対的に把握することです。
まとめ
ここまでリード獲得のための主要な方法を挙げるほか、オンラインリード獲得の際のポイントなどについて解説してきました。現在はデジタル化の流れから、オンラインの施策が主流である一方、もちろんターゲットとする業種・業界によってはオフラインの施策もまだまだ有効です。さまざまな試行錯誤をしながら、自社に適した投資対効果の高いリード獲得方法を模索してみてください。