CEATEC2022レポート「デンマークのデジタル政策と成功に繋げる3つの鍵
はじめまして。アイティメディア株式会社でインターンをしています。情報経営イノベーション専門職大学3年の堤光平と申します。
今年の6月から7月に実習Ⅰという形でインターンが始まり、10月から実習Ⅱがスタートいたしました。実習Ⅱでなんと初めてCEATECという展示会へ取材の機会をいただけたので、今回は私が初めて参加したCEATECの感想とデンマークのデジタル政策についてご紹介します。拙い文章ですみませんが、最後まで読んでいただければ嬉しく思います。
人生初のCEATEC!その規模に愕然
2022年10月20日。私は人生で初めてCEATECという国際展示会へ参加しました。
CEATECとは毎年10月に幕張メッセで開催されるアジア最大規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会です。出展者は日立、三菱、NECをはじめとする各企業や大学研究機関・スタートアップ、海外企業や大使館など様々です。今年の出展者数は562社・団体で、来場者数はなんと4日間の開催期間中に81,612人を記録したそうです。そのこともあり、会場入りした私は人と出展ブースの多さに愕然。。。迷子になりかけてしまいました。。。
デンマーク大使館とデンマークのデジタル政策
前置きが長くなりましたが、今回デンマーク大使館のブースでデンマークのデジタル化についてお話をお伺いすることができました。[1] デンマークは国連経済社会局(UNDESA)が実施する「世界電子政府ランキング」という調査で第1位の評価を得ているデジタル国家です。そんなデンマークはなぜデジタル化に成功できたのでしょうか。
出所:国際連合 UN E-Government Knowledgebase - Country Data
デジタル化する上で重要な3つの鍵
鍵1.デジタル化するまでの段階と目標を決める
今ではあらゆる分野で電子化が進んでいるデンマークですが、いきなり全ての分野に着手はしませんでした。CPRという社会保障番号は1968年から開始され、1970年以降に企業、教育、医療などの情報登録を行い、2001年から2020年にかけてポータルサイトの整備やNemID(日本のマイナンバーカードのようなもの)の導入を行いました。大規模なデジタル化には段階と目標が必要になります。何をどのレベルまでデジタル化するのか目標を設定し、達成までのマイルストーンを定めたことがデジタル化を成功に導いた要因なのだと担当の方は語ってくれました。
~おまけ情報~
NemIDのNemとはデンマーク語で「簡単な」を意味するそう
鍵2.市、企業、政府が連携し、サポート体制の基盤を作る
公共のサービスなどをデジタル化していくにあたり、気になるのはサポート体制。いくらデジタル化して便利にしても、実際に国民が安心して利用できなければ意味がありません。そこで国レベルから自治体レベルまで横との連携を強化し、サポート体制を構築するために「KOMBIT」というものが存在します。この「KOMBIT」の目的は加盟する自治体同士が連携して一体となったITシステムを導入できるように、ITベンダーとの仲介役としてコンサルティングを行うことです。そうすることで地方、公共機関間での運用性を高め、デンマーク国内全体での円滑な連携と情報共有が可能となり、それらの情報やサービスを市民や企業が利用できる基盤を作ることができます。
鍵3.利用者に小さな便利体験を提供する
現在、デンマークでは市民用とビジネス用のそれぞれにポータルサイトが設けられており、市民サービスの手続き2000項目以上と法人手続き1600項目以上がオンライン上で行えます。しかし、このような大規模なシステムを運用するためには国民や企業から様々なデータを提供してもらう必要があります。データの中には個人情報なども含まれているため、それらを安心して提供してもらうためには、どの程度の範囲で情報が利用されるのかといった情報の利用目的を明確に示さなければなりません。また、デジタル化していく過程で実際にサービスを利用してもらい、その利便性について実際に体験してもらう。そして全ての人がサービスを利用できるように充実したサポート体制を構築することが重要です(動画による利用方法の案内など)。
後日談~デンマーク大使館への訪問
後日談となりますが、10月25日に行われた北九州市とデンマーク大使館の締結式へ伺うことができました。北九州市ではDX推進計画を策定し、市民生活から行政のレベルまでデジタル化していくために、デンマークとデジタル、環境、エネルギーの分野で提携し情報の共有と円滑な連携を目指しているそうです。北九州市長である北橋健治さんは「デジタル化の事例にアンテナを張り、北九州市でもDXを推進していきたい。デンマークは双方がもつ課題を共に解決する良きパートナーだ。」と最後に私に語ってくれました。ようやく日本でもマイナンバーカードの普及やDXの推進が始まりましたが、国や企業が有する膨大なデータを活用しきれていないのが現状です。国レベルでのデジタル化は生活の質向上や既存ビジネス、新規ビジネスの発展に欠かせません。デジタル先進国であるデンマークからはきっと多くのことを学べると私は信じています。
左:駐日デンマーク大使 ピーター タクソ-イェンセン 氏
右:北九州市長 北橋 健治 氏
ご感想はこちらよりお寄せください。