デジマのあれこれ

変化が激しい時代のIT製品選定、担当者が捉えた「ただ1つのポイント」

【ITmedia読者へのインタビュー公開】記事を読み製品導入に至ったプロセスをうかがいます


 自社に何らかのITツールを導入する際、一般的にはまず「課題の整理」「解決策の検討」が存在し、検討した解決策が「何かしらの製品を導入すること」になった場合、そこから製品選定がスタートします。

 一昔前であれば「付き合いのある業者が置いていくカタログを眺めて相談、あとは業者にお任せ」という企業も少なくありませんでしたが、製品の多様化はもちろん、業務課題の複雑さも増しており、こうしたある意味牧歌的な導入方法は既に過去のものとなっています。

 では、他の企業はどのように製品選定を進めているのでしょうか。コミュニケーション促進、情報流動性の強化・そしてその活用支援を目的にクラウドサービス「Google Workspace」とeラーニングサービス「Master Program」を導入した、株式会社サーラビジネスソリューションズ(以下SBS)の小出輝雄氏(サーラデジタル推進グループ)にお話を伺いました。

株式会社サーラビジネスソリューションズ 小出輝雄氏(サーラデジタル推進グループ)



目次[非表示]

  1. 1.変化が激しい時代の製品選定
  2. 2.「将来」を見据えた準備
  3. 3.「在りたい姿と向かいたい方向性」を明確化した多角的な情報収集


変化が激しい時代の製品選定

 サーラビジネスソリューションズは、愛知県豊橋市に本社を構える総合生活関連企業のサーラグループにてITに関する業務全般を担う情シス子会社です。サーラグループはエネルギー供給をはじめ、社会インフラ整備、住宅・輸入車販売など幅広い事業を展開しており、創業113年目を迎えます。

 小出氏の所属するサーラビジネスソリューションズの事業対象はグループ46社、4000人を超える大規模なもので、単なるPC導入にとどまらず、ERPのような事業基幹システム開発・運用や勤怠/精算といった現場業務システム、コミュニケーション/コラボレーションツールといった生産性に寄与する領域まで広範にカバーしています。


サーラグループ本社上空(愛知県豊橋市)https://www.sala.jp

 小出氏はサーラグループの別会社で営業職に従事していましたが、2008年よりSBSで業務効率化や業務改善に有効と思われるツールやサービスをグループ各社に提案/提供する業務を担当しており、現場目線を持ってIT導入支援を行っています。実際にいくつかグループへのITサービス導入・展開プロジェクトに関わった小出氏ですが、近年では選定・導入プロセスその物に変化が起こっていると言います。

 「IT導入がパッケージ導入と同意義に近い時代は、課題整理から解決策検討、情報収集、ベンダー問い合わせを経てコンペ、デモ依頼といった流れを経て製品決定。決定後には導入プロジェクトを発足させてシステム構築やトレーニング、運用開始という流れでした。このやり方はとても時間が掛かるもので、苦労して現場にシステムを導入した時点で当初の要求がすっかり変わっていた、という事もありました」


従来型のIT製品導入プロセス

 「ですが、最近では仕様に起因するのではなく、“使いにくい”“なんとなくやりにくい”“時代に則していない”といった明文化しにくい課題が増えており、それに伴い、選定・導入プロセスも変化しています」(小出氏)

 これまでは「サーバ/アプリの保守期間が終わってしまう」「ディスク容量やユーザー数が足りない」「既存システムと現業にミスマッチが見られる」などある意味課題が明確であったため、選定・導入プロセスについても、性能/仕様比較から始まる分かりやすいスタートだったと言います。

 近年のIT製品性能向上は目覚ましく、また、多くの現場で既に使われるようになったため、「IT製品が職場にあるのは当たり前」になりました。ですが、普及していることと使いやすいことはイコールにはなりません。普及したからこそ、より使いやすく、より業務の効率化に寄与できる製品が求められるのは必然の流れです。

 IT製品が企業に普及した現在、IT製品導入に携わる人が持つ大きな悩みは「見えにくい課題に対処していくこと」に加えて『変化への対応』が重要になったのです。小出氏は「言い換えると、“過去のやり方・プロセスを定義したシステム導入”から、『将来の拡大を見据えた利用サービス選定』にシフトしている」と語ります。


「将来」を見据えた準備

 では小出氏はこの「将来」を見据えた準備にどのように取り組んだのでしょうか。

 小出氏が着目したのは、選定・導入プロセスにおけるスタート地点でした。これまでのように自社における課題整理からスタートするのではなく、類似するだろう課題を抱える他社事例を多く参照し、課題の可視化と解決策の類型化をスタート地点にしたのです。さらに、“在りたい姿も描くようになった”と言います。

 「【●●の業務課題を解決】のような文字が躍るメルマガやタイアップ記事は積極的に目を通しましたし、セミナーにも多く参加しました。自社の課題と解決策が明確化できていない段階では、こうしたメルマガやタイアップ記事のタイトルが“在りたい姿・向かいたい方向”を示してくれたように思います」(小出氏)

小出氏が意識した「将来を見すえた」IT製品導入プロセス


 ここで小出氏が例として挙げてくれたのが、サーラグループにおけるコミュニケーション/コラボレーション基盤の刷新についてです。サーラグループではこの基盤としてエンタープライズ向けWebグループウェアを利用していますが、近年ではグループ全体として事業範囲が拡大していることと、リモートワークへの対応、産学連携・地域貢献等の活動に対して社内利用が前提のオンプレミス型グループウェアではなく、より外部との連携性に優れたコミュニケーション基盤が求められていました。

 ただひとくちに「外部との連動性」といっても、自社要求に即した要件定義を行うだけでも多大な労力が必要となります。加えてSBSではグループ会社にIT製品を導入するだけではなく、利用してもらうための教育活動も担当します。そのためサービス導入がゴールではなく、速やかに現場への定着を図り、いかに活用してもらうかがポイントになります。

 最終的にSBSではグループ各社に「Google Workspace」の導入を決定し、活用するための教育プログラムとしてストリートスマートのeラーニングサービス「Master Program」を利用することにしましたが、そこに至るまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。


「在りたい姿と向かいたい方向性」を明確化した多角的な情報収集

 「コミュニケーション/コラボレーション基盤を変えたいという意識はありましたので、いろいろな情報収集アクションをしました。検索に始まり、メルマガやタイアップ記事を読み込んだのもそうですし、ホワイトペーパーにも多く目を通しました。そこで候補の1つになったのがGoogle Workspaceですが、すぐさま決定とはせずに他社サービスとの比較、自社課題の抽出、さらにはトライアルアカウントでの試用も経ての決定となりました」(小出氏)

 

ここで小出氏が強調したのは、多角的な情報インプットでした。課題抽出や仕様比較に入る前に、「自社グループの目的(ここでは外部との連動性を持ったコミュニケーション/コラボレーション基盤の刷新と活用支援)を達成するのはどのような手法・製品が存在するか」
さらに「そのサービスを使い倒すことで、組織や企業風土はどの様に変えられそうなのか」についても情報を丹念に収集したのです。

SBSにおけるGoogle Workspace/Master Programの導入プロセス


 ただ、その時々に応じて得たい情報は変わるとも言います。

 ベースとなるのは「同じ課題感」「自社に似た企業」の情報ですが、費用対効果や仕様の情報はホワイトペーパーや製品/サービス提供企業のサイト、SBS社内や導入先となるグループ各社に対して「心理的な巻き込み」「寄り添い」「世界観の共有」をしたいときには叙情的・心理的に作用するタイアップ記事が有用だったと言います。

 こうして収集した情報に加え、「利用企業による独自カスタマイズをなるべく避けたい」「導入/利用コストを抑えたい」「ユーザー端末管理の容易さ」「導入後の利用促進」などIT導入管理会社であるSBSの要望を加味していき、Google Workspace/Master Programを選定するに至りました。

 「この記事を読んだとき、現グループウェア導入当時、現場を駆けずり回って導入・利用の支援をしていた記憶がよみがえりました。こうしたeラーニングプログラムがあれば、あの大変さを繰り返さずに済む!といまでは心の支えになっています(笑)」


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 もはや企業活動とIT製品は切り離せない関係にありますが、単純に製品を導入すれば良いという時代ではなく、より自社の課題・課題意識によりそった解決策の提示が求められるようになっています。そしてその課題は製品仕様を眺めるだけでは解決しにくいのが現状です。その製品・サービスがもたらす効果はもちろん、利用する私たちの変化が求められているのは間違いありません。

 小出氏は検索に始まり、メルマガやタイアップ記事、ホワイトペーパーの閲覧、さらには各種セミナー参加といった多角的な情報収集から、解決策にたどり着きました。それぞれの情報は役割が異なり、1つとして欠けては結論にたどり着かなかったことは想像に難くありません。製品導入――企業内の課題解決アプローチに悩まれている方にとって、小出氏の手法は大きな参考になるでしょう。


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サーラビジネスソリューションズ

エネルギー供給をはじめ、社会インフラ整備、住宅・輸入車販売など幅広い事業を展開し、創業113年目を迎えるサーラグループのIT部門を担当。財務・人事・販売といった基幹業務向けITサービスの提供はもとより、グループ企業が手掛ける新事業/新サービスのITパートナーとしての活動も行っています。

https://sbs.sala.jp/


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