記事の作り方や海外出張まで、編集記者にインタビュー
こんにちは。ピヨピヨインサイドセールス部のサカナです。
さて、今回は「ITmedia エンタープライズ」で編集記者をしているZさんへのインタビューです。
新卒研修の期間に「編集記者職研修」というプログラムがあり、その時に私はZさんの仕事を見学させていただき、記者会見の出席や記事の執筆などを体験させていただきました。
そんなお世話になったZさんにお話を伺い、編集記者という働き方や業界にまつわるお話を深堀りできればと思います。
Zさんのプロフィール
・2022年4月にアイティメディアに入社
・現在ITmedia エンタープライズで編集記者を担当
・ベンチプレス65kg
・黒柴を飼っている
ITmediaの編集記者になるまで
サカナ:
はじめに、ITmediaの編集記者になるまでの経緯についてお聞かせください。
Z:
大学時代は何でもやりたいという気持ちがあり、インターンでとある銀行のアナリストの仕事を1年ほどやりました。
アナリストという仕事は編集記者に近い仕事で、自分は債券や経済市場を調査し、研究をまとめてレポートを作成し、銀行に関係している投資家さん達に送るといった業務をしていました。メルマガをイメージしてもらえるとわかりやすいですね。
サカナ:
そうだったんですね。媒体に記事を掲載するわけではないですが、記事を書く仕事にその時既に携わっていたんですね。
Z:
はい。当時は編集記者になりたいという気持ちは強くなかったのですが、元々書く仕事が好きで、大学時代に銀行のあと通信社でもインターンをして、その流れでアイティメディアに辿り着きました。
サカナ:
学生時代から経済に興味があり、その環境に飛び込むというのは行動力があると感じました。ちなみに、経済について興味を持ったきっかけは何かあったのですか?
Z:
そうですね。実は大学に入る前は、高校卒業後2年間公務員として働いていました。高校時代はスポーツに全力を注いでいてそれ以外にやりたいことが無かったので、そのまま公務員になりました。
公務員として働く中で企業法について勉強するようになり、それを勉強するために大学に入学し法学や経済学を学びました。経済に興味を持ったのは大学に入った時ですね。
サカナ:
すさまじい行動力ですね。
ITmediaエンタープライズ
サカナ:
続きまして、現在のZさんのキャリアについて伺ってもよろしいでしょうか?
Z:
今現在、ITmedia エンタープライズで編集記者をしています。ITmedia エンタープライズではtoB向けのビジネスITを取り扱っていて、具体的にはクラウド、AI、セキュリティなどと説明するとわかりやすいですね。
サカナ:
ありがとうございます。ITmedia エンタープライズというメディアを一言で表すと、どんなメディアでしょうか?
Z:
「企業の心の拠り所」ですかね。必要な情報を伝えることは勿論ですが、読者の時間が空いた時や少し疲れた時にいつ来ても面白いコンテンツが掲載されているメディアを目指しています。
サカナ:
すごく良い言葉ですね。「心の拠り所」というと「気持ちを支えてくれて安心させてくれるもの」という印象があるのですが、そういった意味もありますか?
Z:
そうですね。悩みを持ったビジネスパーソンのためのお役立ち情報を日々掲載しているという側面も持ち合わせていると思います。
サカナ:
ちなみに、Zさん個人で専門としている分野はあるのでしょうか?
Z:
私は現在ERPを担当しています。ERPとはざっくりいうと「財務系のシステム」ですね。財務、人事、経理といったシステムをまとめて提供することによって、各データを統合的に分析することができるので、ビジネスサイドの人が経営判断をするのに役立つシステムという感じです。
サカナ:
ERPというと、今すごく注目されているイメージがあるのですが、実際はいかがでしょうか?
Z:
仰る通り、これから注目される分野だと思います。背景としては、DXが社会に浸透し必然的にデータ分析が重要になっていると思います。
まず財務系のデータというのはすごく膨大で、企業では日々お金が動くので日々データが積みあがっていきます。これまでは単純な会計ソフトウェアで管理していたのですが、ERPを導入することで一元的に企業データを可視化できます。ここ数年で認知が広がり導入する企業もすごく増えてきていますね。この流れは今後も続くということでITmedia エンタープライズでも力を入れています。
サカナ:
すごく勉強になります。ありがとうございます。
編集記者という仕事
サカナ:
続きまして、具体的な編集記者のお仕事についてお聞かせいただければと思います。この質問は、インタビュー初心者である私が最初に聞くべき質問だったと思いますが、インタビューする時のコツについて教えてください。
Z:
そうですね。私はインタビューする時に必ず心掛けていることが1つあります。それは「取材中は相手に向き合う」ということです。要するに実際に真正面から話を聴くということです。
よくPCで文字を入力しながらインタビューをするというケースがあります。記者会見のような大勢の編集記者が同席するシーンではあまり問題はないですが、1対1で話をする時にPCに向かっていると相手は心を打ち明けにくいです。
そのため、目を見て真正面から向き合うことで、相手との意思疎通を図ることができ、本心を打ち明けてもらいやすいです。本心を打ち明けてもらえると良い記事が書けます。
サカナ:
すごく基礎的な部分ですが、やられて嫌なことはやらない。人と関わる上で大事なことですね。
続いて、編集記者の方が行う情報収集について伺いたいです。メディアの読者(私もその1人です)は、編集記者が書く記事で情報収集することが多いですが、その記事を書く編集記者はどのように情報収集するのでしょうか?
Z:
情報収集の方法は様々あります。今仰ったメディアの記事を見て情報収集をすることは、我々編集記者も日常的に行いますが、その中で常に「アンテナ」を張っています。それは何かというと、多くの記事を見て業界動向に触れていく中で、頻出する新たなキーワードや事柄を素早くキャッチすることです。そして、それらを調査したりインタビューの場を設けたりします。
記事を書く上で大切な「速報性」と「独自性」
サカナ:
続いて、記事を書く上で難しい点についてお聞かせいただけますか。
Z:
やはり、「如何に多くの読者に記事を見てもらえるか」が難しい点ですね。やり方は大きく2つあると思っていて。
ひとつは、とにかく早く記事を出すことです。他メディアに負けないスピードで記事を出すことによって、読者を増やすことができます。ニュースなどは旬のものなので、スピードが命ですね。
あともうひとつは、内容を深掘りした記事を書くことですね。ITmedia エンタープライズは会員制メディアなので、会員になってまで読みたいと思える記事を作る必要があります。そのために、独自にインタビューをして追加情報を手に入れたりもします。
サカナ:
今のお話で言うと、「速報性」と「独自性」の2点があると思うのですが、記事の内容によって両者を使い分けるといった感じですか?
Z:
そうですね。それは記事の内容によって判断します。ニュースとして出したい記事もあれば、深掘りをして時間をかけて調査した方が面白くなる記事もあります。
例えば、セキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性に関するニュースは、緊急性が高いので速報として出した方が読まれやすいです。
しかし、企業の新サービスリリースや組織改革などのニュースは、緊急性が高いニュースではないので、速く記事を出す必要はあまりないです。それよりも「なぜ新サービスをリリースしたのだろうか?」や「なぜ組織改変を行ったのだろうか?」という視点から深掘りをして、プレスリリースには書いていない情報を追加することで、独自性のある面白い記事になり、注目を集めることができます。
また、速報として出せなかった記事でも、深堀りをして新情報を加えて読者に届けたりだとか。これらを臨機応変に判断することは難しいですね。
編集記者の海外出張
サカナ:
先日海外出張に行かれてたと思いますが、そのことについて詳しく伺ってもよろしいでしょうか?
Z:
はい。先週も米国のラスベガスに1週間出張に行きました。入社して1年半の間に4回ほど海外出張へ行きましたね。目的としては、米国の大手ベンダー企業のイベントに出席し取材することが多いです。
イベントは基本的には1週間ほど開催されていて、会場ではクラウドやアプリケーションなどの議題で、いたるところで様々なセッションブースが設けられているのでそこに足を運び取材をします。
サカナ:
日本で取材するのに比べて、海外で取材することの難しさはありますか?
Z:
まずはやはり言語の難しさがありますね。大きな基調講演だったらトランシーバーで同時通訳が付いたりしますが、個別の取材だと通訳が付かないので最低限取材できるレベルの英語力が必要です。
あとは体力的な難しさがあります。米国では時差があり、移動で身体が疲れている中で連日の取材活動があるので、体力的な部分も要求されます。
サカナ:
やはり体力的な問題があるのですね。
ちなみに、現地ではどのようなスケジュールを過ごすのでしょうか?
Z:
そうですね。だいたい朝6時に起床し、7時に朝食を摂りつつその日のスケジュールを確認して、8時半にはイベント会場に到着します。
午前中は重要な基調講演が多いので、9時からそれに参加します。午後から17時までの間で、個別取材を数件行い、その後は夕食も兼ねて交流会があります。そして22時に自室に戻り記事を書く作業を始め、遅い時は1時に寝るといったスケジュールです。
サカナ:
予想以上にハードなスケジュールで驚きました。
1日の中で取材と記事作成を行うのですね。
Z:
そうですね。イベントで発表された内容というのは後日各国でプレスリリースが出ることが多いので、それまでに記事を出さないといけないので気合いを入れて記事を書きます。
また、その日中に記事を出すことで、読者に現地レポートのライブ感を伝えられるので面白い記事になると思います。
アイティメディアでの働き方について
サカナ:
アイティメディアに入社し1年と半年が経ちましたが、これまでを振り返るといかがでしょうか?
Z:
すごく成長できた1年半だった思います。若手でも手を挙げれば応援してくれるので新しいことに挑戦できる環境かなと思います。すごくありがたいです。
先程お話した出張についても、最低限の英語力と体力さえあれば上司は応援してくれるので、1年目の時から海外出張にも行くことができました。しかしその分、プレッシャーはあります。記事を出さないといけないし、読まれないといけないので。そういうプレッシャーはあれど、個人の挑戦を応援して頂けるので凄く良い環境だと思います。
サカナ:
ありがとうございます。
最後に
本コラムが私の人生で初めてのインタビューでしたがいかがだったでしょうか。
Zさんのあらゆるエピソードから、挑戦する力と、それを成し遂げる為の行動力に刺激を受けました。自分自身も努力を積み重ねて精進していきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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