「ABMで組織が変わった」
ABMレポートを活用した新規案件創出の勘所

「ABMレポートの導入によって、リード獲得から次アクションへの連携がスムーズになりました」

ファイア・アイ株式会社
執行役員 マーケティング本部長 橋村抄恵子氏

担当営業の力量に依存せず戦略的かつ組織的にアプローチするという側面が注目され、多くの企業がABM(Account Based Marketing アカウント・ベースド・マーケティング)の手法で成功を収めています。ABMの考えに基づくアイティメディアの営業・マーケティング支援サービス「ABMレポート」導入もあり、全社一丸となった戦略的な営業・マーケティング活動を実践するファイア・アイ株式会社にお話を伺いました。
導入背景と課題 マーケティング基盤と営業連携プロセスが未整備
日本市場にマッチしたABM手法の開拓
ADR業務の業務効率化
導入内容

ABMレポート、ABMアラート

利用による効果 マーケティング部門と営業部門の連携強化
最適な営業タイミングの把握
アポイントからの案件化率66%を達成 
記事公開日:2021年05月19日

●マーケと営業が連携できる基盤づくりからのスタート

――ABMレポートを導入される前の2018年ごろ、貴社ではマーケティング・営業面においてどのような課題があったのでしょうか。
橋村氏:私は2018年夏にファイア・アイへ入社したのですが、当時、弊社内にマーケティングの基本的な基盤や、営業のゴールと同期しているべきプロセスは整備されていませんでした。マーケティング部門と営業部門の連携も限定的で、大きな戦略をもとにゴールを共有し、その達成に向けてアクションを実行していくような体制は構築できていなかったのです。

当時は販売する製品やソリューションが大きく拡充され、ビジネス自体が大きく転換していく時期だったこともあり、抜本的な改革が必要だと感じました。そこでまず、営業戦略を明確化し、どのような顧客層をターゲットに何を、どのように訴求していくべきかの整理に着手しましたが、同時にコミュニケーションの基盤となる顧客データベースの把握と課題の洗い出しを進めました。

その頃、米本社では米TechTargetのPriority Engine(市場において優先してアプローチすべきターゲット企業とその活発度に関する情報を提供するSaaSプラットフォーム)を使うことが議論されていました。そこで、日本でも日本市場にマッチしたABMの手法を検討する必要があるとの考えから、アイティメディアに相談させてもらいました。
――アイティメディアへ相談するにあたり、何を期待されましたか?

橋村氏:戦略を考えるとき、営業とマーケティングでどの部分の役割を果たすか、その認識を合わせておくことも重要な要素のひとつです。営業が直接エンゲージ可能なお客様にフォーカスする一方、マーケティング的には「自社製品がマッチするお客さんがどこにいるか」を注視していけば案件創出に貢献できると考えていました。

ファイア・アイにはマーケティングと営業の間に位置する役割としてADR(Account Development Representative:アカウントディベロップメントレップ)があります。しかし、2018年の時点ではADRが新規案件創出という側面で機能していたとは言い難く、営業活動をアシストする動きに終始していた印象でした。実現したかったのは、さまざまなマーケティング施策と同期を取りながら、ADRがある程度見込みのある顧客に声をかけ、効率的に質の高い案件を創出できるような仕組みを整備することでした。

アイティメディアのABMレポートには、こうしたADRを効率的に動かすためのツールにもなり得ると期待して声をかけました。

●ABMレポート導入で「施策の車輪」が回転し始める

――検討を経て2019年度からABMレポートを導入頂きました。導入初期の印象は?

中村氏:これまでのコール業務経験を通じてABMレポートを使うのは初めてで、最初は戸惑いました。ただ、リストを見ていくうちに優先順位やコンタクト先の分かりやすさが感じられるようになり、すぐに使いやすいツールだなという印象に変わりました。

ABMレポートの画面。
オンラインで情報収集が活発化している企業とコンタクト先が確認できる
――ABMレポート導入初期、どのような成果を得られましたか?

橋村氏:
ABMレポートはリードジェネレーションなどコンタクト情報取得と連動して使うと次のアクションにつなげやすく、「行った施策とかみ合い回転する」ことが導入して良かったと感じた点です。

私たちは1つの施策で案件創出が行えたかという判断はしておらず、お客様との接点の積み重ねを全体として判断しています。つまり、「コンタクト取得」と「取得したコンタクトに対してアクションする」ことを分けているので、この2つをつなげ回転させる上でもABMレポートの導入は大きな効果があったと考えています。

リードジェン施策とABMレポートが連携して、はじめてADRの活動が機能すると橋村氏は言う。

――最初は業態と社数を限定してABMレポートを実施していましたが、2019年7月に対象企業指定を解除して全業態を対象としました。この時点で何が課題だとお考えでしたか?

橋村氏:「何を目的にするか」に立ち返ったとき、ビジネスなので最終的には数字であると再確認しました。社数を制限しているという状態はターゲットに対してフォーカスすることであり、米本社に向けてこの領域にフォーカスしていますという意思表示でもありましたが、当初の目的に立ち返ったとき、「興味度が上がっている会社に適切なタイミングでアプローチする」ことの優先度を上げるべきだろうと考えました。

当初は業態と社数を限定してABMレポートを実施していたが、
2019年7月からは「興味度が上がっている会社に適切なタイミングでアプローチする」ことの優先度を上げ、全業態を対象とした

――相談を頂いた当初、「新規コンタクトの獲得」「案件化精度の向上」という2つの課題を挙げていましたが、その目的は果たせましたか。

橋村氏:運用してみたからこその課題も見えましたが、手厚くサポートしてもらえたこともあり、良い形になっていると思います。ABMレポートの導入当初はマーケティング/ADRという輪の中でコールの生産性を上げる目的に一定の成果を上げましたが、現在は営業もこの輪に巻き込むことで、新たな案件創出の可能性が高くなるのではないかと考えています。

ABMレポートによってもたらされたデータがマーケティング部としての成果につながらなくても、営業が担当するお客様にとって興味を持っていただけそうなデータを発見して提案に活用し、最終的にビジネスが良い方向に流れれば良いと思っています。

●さらなるデータドリブンの開始、アポイントからの案件化率向上

――2019年末にリクエストいただいた「アラート通知メール機能」が、ABMレポートの1機能として2020年4月にリリースされました。この機能は「ターゲット企業が急激に情報収集活動を活発に行ったら、注目すべき企業として担当者にアラートする」というものですが、リクエストの経緯を教えてください。
 

橋村氏:ABMレポートのような仕組みを提供してもらえればいいというモノではなく、仕組みを生かせる組織や体制がないと生かせません。組織や体制については中村が努力してくれましたが、「営業の負荷を高めないようにするにはどうすればいいか」という課題は残りました。

「ABMレポートの新登場アカウントにフォーカスすると、アポイントを獲得する確率が高くなりますね」

ファイア・アイ株式会社
マーケティング本部 シニア アカウント・デベロップメント 中村浩子氏

中村氏:それまでは営業部門にアプローチすべき企業リストを共有していたのですが、見る人と見ない人がいました。そこで「アラート通知メール機能」を使ってアラートを送ることで意識面の改革も進み、マーケティングと営業が連動して動く風土が培われました。

2018年のマーケティング立て直しから始まり、その活動が2年目3年目となって、営業部門から「マーケが会社を動かしている」という声も聞こえるようになったのはうれしい反応ですね。アラートメールが煩わしいといったような、ネガティブな反応は今のところありません。

――アラートで注目企業を伝えた際にはすべてコールするのでしょうか?また、コールからのアポイント/案件化率はどのような状況でしょうか。

中村氏:
最近では体制が整ったこともあり、基本的には新たに浮上した「注目すべき企業」についてはコールすることにしています。案件化率も向上しており、アポイントからの案件化は53%から66%に向上しています。

自社内の情報とABMレポート、更に、Webで公開されている外部の情報を全て洗い出してからコールするライトパーソンを選定していると中村氏は言う。

●ABMレポート導入のメリット、導入に際して留意すべきたった1つのポイント

――ABMレポートのような外部データを上手く使うために何か工夫をされているのでしょうか?

橋村氏:データそのものに価値があるかよりも「どう使うか」「どう無理なく継続して運用するか」が大切だと考えおり、最初に全体戦略の中でどう成果を出すために使えるかを丁寧に構築すればうまくいくのではないかと思います。ファイア・アイについていえば、マーケティングと営業の間に位置する役割として経験豊富な中村がいて、上手に回してくれていることはありがたいです。

――近年のB2Bマーケティングでは、企業がどのような興味関心を持っているかのデータ、インテントデータ(購買意思情報)の活用が注目されています。こうした新たな動きについてはどのように取り組まれていますか。

橋村氏:インテントデータの活用は、米本社の取り組みとしても活発に行っています。日本ではABMレポートを利用していますが、インテントデータをMarketoやリードのスコアリングモデルに組み込み、ステータスを確認するなどの取り組みも始めています。また、Salesforce上でABMレポートのデータが確認できるようになっています。ファイア・アイでは米本社側に日本独自の要件を伝え、理解してもらうことでかなり柔軟にサポートをしてくれています。

ABMレポートのインテントデータをオンラインで閲覧したりExcelファイルを送付するだけでなく、
アラート通知メールやSales Cloudなどの複数のチャネルを通じて営業・ADR・マーケティング部門間で共有して業務効率化を図っている。

――お二人のお立場から、ABMレポートを導入して良かったことや、役だったABMレポートの情報について教えてください。

橋村氏:相手の企業がどんな状態なのかを見極めるため、属性だけではなくABMレポートによってインテントを得られ効率化を図れたことは良かったことですね。「ポテンシャルが上がってきた段階でそれをタイミングよく把握してコンタクトすること」と、同時に社内体制・環境を整えることで「営業、ADR、マーケティングがスムーズに連携できること」の2つを実現できたことが大きな導入メリットだと思います。

中村氏:ABMレポートの導入によって、単なるアカウントへのコールよりも反応がよいコールをできることが増えたのは良かったことです。ABMレポートに含まれる「活性化」や「情報システム部の有無」「課長以上の有無」などの情報は自分の活動においてのマインドを高めるのに役立っています。柔軟にいろいろとサポートや機能追加を頂いているのもありがたいです。

――ABMレポートを導入検討する企業へのアドバイスがあればいただけますでしょうか。

橋村氏:ABMレポートを入れたことですべてが解決するわけではありません、「何をしたいか」イメージを持つことが大事です。運用レベルまでのイメージを持って導入すれば活用できると思います。
いろんなサービス・メディアと付き合いがあるが、アイティメディアには柔軟な提案と対応をしてもらっています。「ターゲットを明確にしたい」というリクエストについては受けられないというサービス・メディアも多いので、そこはアイティメディアのABMレポートならではのメリットだと感じます。

※掲載されている情報は、2021年6月時点のものです。

■FireEye(ファイア・アイ)について
FireEyeはインテリジェンス主導型のセキュリティ企業です。
FireEyeの革新的セキュリティ技術、国家レベルの脅威インテリジェンス、世界的に著名なMandiant®コンサルティングの知見を、各種製品&ソリューションに集約し、お客様のサイバーセキュリティ対策を事前の準備、攻撃の把握から検知・防御、侵害時の対応までのすべてのフェーズで支援します。FireEyeは「Forbes Global 2000」企業の5割以上を含む、世界103か国以上の9,900を超える組織で利用されています。
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